【症例#2】指先のしびれと手首の激痛で手術することが決まっていた手根管症候群の患者様
患者様情報
50代 女性 介護職
来院までの経過
・以前から重いものをつかむ動作や、手をついたときなどに右の手首に違和感を感じていた
・2ヶ月ほど前からは人差し指と中指にしびれが出るようになってきた
・それからすぐに今度は手首を動かすと激痛が出るようになり、不安で整形外科を受診
・手根管症候群との診断で痛み止めと湿布を処方されしばらく様子を見ていた
・1ヶ月ほど我慢して様子を見ていたが、痛みとしびれは引かず、かえって症状はひどく、親指のつまむ力がほとんど入れられない状態になってしまった
・再度整形外科で相談、レントゲン撮影したところ、手根管の部分に石灰が溜まっていて、それが原因で手根管症候群が出ているとのこと
・治すためには手術で石灰を除去するのが良いと勧められ、それで良くなるならと、手術を受けることを決意
・決意したものの、手術の怖さや不安もあり、なにか方法はないかと調べていた
・手術日まであと1週間というところで他の患者様がご紹介くださり、幸町亀山整骨院に来院
初見時の症状
・手首の激痛(曲げるのも伸ばすのも10度ほど動かすと激痛)
・指先のしびれ(手首の動きや振動でしびれが増強)
・親指のつまみ動作が不可能
・手首へ響いてしまうため物を持つのも困難
カウンセリング・検査結果
・手首は痛みで10度程しか動かせていないため、手首を始め指先の関節まで硬さが出ていた
・整形外科で石灰があると言われた部分にしこりを触知、そこを押すと症状が増強
・親指の付け根の筋肉が痩せていて、典型的な手根管症候群の症状が出ていた
・手首が痛く使えないため、肘と肩でかばうような動きが多く、首肩背中の緊張が異常に強かった
・それに伴う猫背姿勢による腰痛も訴えていた
・患者様本人は手術はできれば避けたいが、どうしたら良いかわからず、ダメ元で幸町亀山整骨院に相談されたそう
・石灰が確認されて手術を勧められている以上、絶対に大丈夫なので手術はやめましょうとは言えません
・まずはこの1週間、当院の施術を受けていただき、どこまで改善できるか経過を見て手術をするか判断するということでご理解を頂いて施術を開始
施術内容
・患部はかなり刺激に過敏になっているため、最初から患部は触らない
・まずは緊張の強くなっていた首肩背中から緊張を緩和させる
・さらに肘周りの緊張も緩和させる
・腕や手を支えている体幹の部分をうまく使えるようにバランスを整える
・ここまでを先に行うと手首への負担がかなり軽減し痛みや動きも少し改善する
・そこから初めて患部の炎症がある部位や石灰が吸収されやすくなるよううに血流の改善を行う
症状経過
1回目
・前述したように、まずは周りの緊張を緩和させ、バランスを調整し、患部へかかる負担を軽減させる
・患部がだいぶ触れるようになったので、手根管の部分を中心に緩めていき血流を改善させる
・強い刺激になりすぎないように石灰の溜まった部分にアプローチし石灰と炎症を散らしていく
・患部の保護のために軽いテーピングでサポートし終了
・初回施術後にはかばって辛かった首肩、背中の張りと痛みは消失し姿勢が改善
・痛みで10度程しか動かせていなかった手首の関節が45度くらいまでは曲げ伸ばしが可能になった
・じっとしていてもズキズキしていた痛みはなくなった
2回目(初診から1日後)
・体幹部の緊張は昨日の施術によりある程度良い状態がキープできていたため、この日は軽く調整
・引き続き残った患部の炎症を引かせるように血流の改善をしていく
・痛くて動かせず固まっていた肘、手首、指のそれぞれの関節の動きをつけていく
・症状はだいぶ軽減されており、石灰の部分のしこりが半分くらいの大きさにまで改善
・しびれは変化なしだが、動作時の響きは軽減
3回目(初診から3日後)
・初回と2回目の施術の効果を御本人もかなり実感していただけたようで、これなら大丈夫!と前日の整形外科での診察の際に手術のキャンセルをしてきたとのこと
・この日も体幹周りから調整
・石灰のしこりもだいぶ小さくなり、響く痛みはだいぶ軽快
・手首の角度は60度くらいまでは可能に
・痛み、ひきつれ感ほぼなくなった
4回目(初診から5日後)
・痛みが軽くなったことで物を握ることもできるようになり、日常生活上の動作をある程度できるようになった
・人差し指中心に出ていたしびれも日に日に改善されている
・動けるようになっていきなり家事などを頑張りすぎたため、肩背中〜腰の張りと鈍痛があったため調整
・引き続き、各関節の拘縮(固さ)の改善
5回目(初診から8日後)
・手首の関節は70度くらいまでは曲げ伸ばし可能に
・低下していた親指の筋力もだいぶ戻ってきた
・かなり思い通りに使えるようになってきたため、ここからは指〜手〜肘〜肩〜背中〜首〜体幹までをスムーズに強調して使えるようにエクササイズを行う
・石灰の部分のしこりはだいぶ散って表面からはあまりわからないくらいまで小さくなった
6回目以降
・引き続き、残った関節の固さの改善
・落ちていた筋力の回復
・その時々で出てきた張りやダメージを改善
・体全体を繋げて効率良く使えるためのエクササイズを中心に行う
セルフケア
炎症が起きている段階では、患部中心にセルフでできるケアを指導
姿勢を改善するための背中〜股関節を中心としたセルフケア体操を指導
痛みが落ち着いてからは腕〜背筋〜臀筋〜足までを連動させたセルフトレーニングを指導
施術者コメント
手術を勧められるほどの状態であった手根管症候群。ダメ元と思いながらも相談していただけたことで良い方向へ改善することができ良かったです。
レントゲン上、石灰が溜まっていてどうしようもない状態だとしても、その中でできる最善の施術をしてあげることで、改善できる症例はとても多くあります。
身体には自然治癒力があります。それを最大限引き出してあげることが重要です。
なぜそこに痛みが出始めたのか?なぜなかなか痛みが引かないのか?自然治癒力の発揮を邪魔しているものは何なのか?これらをカウンセリングや動作・姿勢分析から見つけそこから改善していくことで身体本来の自然治癒力が働き、大体の痛みや不調は改善方向に向いてきます。
今回の患者様の例ですと、猫背姿勢からくる上半身全体の固さと緊張により、体幹〜腕〜手へのスムーズなつながりが使えず、手だけに負担がかかる使い方をしてしまっていたことが大きな原因だと思われます。
「手術をして石灰を除去する。」口で言うのは簡単ですが、手首の関節から手のひらにかけてメスを入れるというのは大変なことです。
石灰が取り切れたとしても大変なのはその後のリハビリです。
今回の手根管症候群に限らず、手術を検討しているという方は、他にまだ出来ることはないか?一度考えてみて、実践してみて、それでもダメなら最終手段として手術に踏み切るという考えを持っていただきたいと思います。
↓手根管症候群について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください↓